おいしさと健康 glico


商品

キャンペーン・CM

情報局

ネットショップ

栄養成分ナビ

IR・会社情報




ニュースリリース
リリースINDEX
2005年 3月 17日付ニュースリリースの詳細
セルロースからアミロースを生産する技術開発に成功
食糧危機回避への道筋ができる

【酵素合成アミロースの生産技術】
 去る2月8日に記者発表いたしましたとおり、江崎グリコは三和澱粉工業と共同で、砂糖より酵素を用いてブドウ糖を重合させることにより、アミロース(注1)の量産を可能にする技術開発に世界で初めて成功しております(平成17年2月8日記者発表)。
 この技術により生産される酵素合成アミロースは、天然のアミロースと異なり分岐構造を全く含まない完全直鎖状のポリマーであり、その分子量は製造時の条件により厳密に制御することが可能です。
【セルロースからアミロースを生産する技術】(図1)

 今回発表する技術は、セルロース(注2)の分解物であるセロビオースに、5種類の酵素(セロビオースホスホリラーゼ、グルカンホスホリラーゼ、ムタロターゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ)を同時に作用させることにより、高い変換効率でセロビオースからアミロースの製造が可能となりました。この方法により、セロビオース100gから、約35gの酵素合成アミロースを生産することができます。

 具体的には、以下のような反応が起こります。最初にセロビオースホスホリラーゼがセロビオースに作用してグルコース-1-リン酸と呼ばれる中間体を生じます。次にその中間体にグルカンホスホリラーゼが作用して、純粋なアミロースが生産されます。反応中に、ムタロターゼ、グルコースオキシダーゼ、ペルオキシダーゼを同時に作用させることにより、更にアミロースの収率が飛躍的に上昇します。それぞれの酵素は、これまで研究レベルではよく知られた酵素でしたが、このように組み合わせて使用されることはありませんでした。

図1.セルロースからアミロースへの変換
図1. セルロースからアミロースへの変換
図4.反応液 図5.ヨウ素‐デンプン反応
図4.反応液
左: 反応前のセロビオース溶液
右: 酵素反応後のアミロース溶液
白い沈殿物がアミロース。
図5.ヨウ素‐デンプン反応(注4)
左: 3%セロビオース溶液+ヨウ素
右: 3%セロビオース溶液+酵素+ヨウ素
酵素反応により、セロビオースがアミロースに変換されているため、反応液がヨウ素‐デンプン反応により青くなった。
【本技術の可能性】
 セルロースは、大気中の二酸化炭素を原料として、植物の光合成により生産される糖質で、地球上での年間生産量は1,000億トンと言われています。この量は、地球上の穀物生産量(20億トン/年)の実に50倍もの規模です(図2)。しかし、セルロースはヒトがエネルギーとして利用できない糖質であるため、その利用範囲は限られています。一方、アミロースは、デンプンに含まれる糖質であり、ヒトをはじめ多くの動物の主要なエネルギー源です。セルロースをアミロースに変換できれば、食べられない素材から、新たな食糧の生産が可能となります。

 近年、石油資源の枯渇が心配される中、再生産可能なバイオマス(注3)資源であるセルロースの利用技術開発が世界中で進められています。しかし、その多くは、セルロースをエタノールへと変換してガソリン代替用のエネルギーとすることを目的としています。今回の技術のように、セルロースを食糧資源として利用する試みはありません。本技術は、迫りくる食糧危機を回避するための非常に重要な技術であると考えます。

 さらに、酵素合成アミロースは、優れた生分解性と高度な機能を併せ持つ新規材料であり、液晶テレビなどの偏光フィルムや、医療用材料など、さまざまな産業に利用が可能です。江崎グリコと三和澱粉工業は、砂糖を原料として酵素合成アミロースを製造し、販売する計画です。今回の技術開発により、地球環境の変動や食糧需給バランスにより、砂糖の入手が困難となった場合には、原料をセルロースに切り替えることが可能となりました。

 本研究成果は、本年3月28日より札幌で開催されます日本農芸化学会2005年度大会にて発表予定です。また、本年4月3日からスペイン バルセロナで開催される第6回Carbohydrate Bioengineering Meeting、6月にフランスで開催される第4回European Symposium on Enzymes in Grain Processing、6月に香港で開催されるGordon Research Conferenceなどの国際会議に於いて発表いたします。

図2.地球上で生産されるセルロースと穀物量の比較
図2.地球上で生産されるセルロースと穀物量の比較
穀物生産量は、1999年の値(「環境統計集平成16年版」(環境省発行)による)

<用語の補足説明>
(1)アミロース
多数のブドウ糖がα-1,4グリコシド結合(図3下)によって重合し、直鎖状になった高分子である。植物デンプン中、約20%含まれている。ヒトの消化酵素により、容易に分解され小腸で吸収される。デンプンはヒトのエネルギー摂取量の50%を占めている。ヒトはセルロースをエネルギー源として用いることができないが、アミロースをエネルギー源にできる。
(2)セルロース
多数のブドウ糖がβ-1,4グリコシド結合(図3上)によって重合し、直鎖状になった高分子である。ヒトの消化酵素によって分解されないためエネルギー源として利用できない。植物細胞壁の主成分であり、植物乾燥重量の約3分の1を占めている。年間生産量は約1,000億トンに達し、地球上で最も多量に存在するバイオマスである。水に不溶であるが、酸分解と酵素反応によって、重合度の低いセロデキストリンやセロビオース、ブドウ糖にまで分解できる。
図3.セルロースとアミロースの構造
図3.セルロースとアミロースの構造
セルロース(上)は、ブドウ糖がβ-結合で直鎖状につながっているのに対し、アミロース(下)はα-結合でつながっている。結合の仕方によって、人間が消化できるかどうかが決まる。
(3)バイオマス
生物由来の物質資源の意味。特に、光合成によって空気中の二酸化炭素を固定して生産される植物バイオマスは、再生産可能な資源であるため、その有効利用が期待されている。
(4)ヨウ素-デンプン反応
薄いデンプン溶液にヨウ素液を加えると青色になる反応。デンプン中のアミロース分子はブドウ糖6個で1巻きするらせん状分子を作るため、その空間にヨウ素が入り特有の青色を発する。ヨウ素-デンプン反応は、アミロースの検出に利用できる。

「セルロースからアミロースを生産する技術開発に成功」の事業化への課題
2005年3月17日付 ニュースリリースの補足 (2005年3月22日付 PDF)
「江崎グリコの新素材」 紹介ページへ
研究用試薬 シクロアミロースなども紹介しています
BACK
リリースINDEX
グリコトップへ
Copyright(C)2005 EZAKI GLICO CO.,LTD. All right reserved.